2013年7月19日金曜日

化粧品の薬事法と景表法について考える

美白化粧品として人気の商品が斑に白く色が抜けるとのことで、カネボウ化粧品さんが自主回収を行っている。前職、製薬グループの化粧品会社に勤めていた私はとしては、効果効能を追及し、成分「ロドデノール」を美白美容成分に採用決定した経緯などを想像してしまう。

研究者としての成分追及、ブランドとして効果を実感させること、そしてどう広告し、訴求するか?
化粧品を販売する上での壁は「薬事法」と「景表法」である。法律の範囲内で女性に満足していただける商品を開発するかに化粧品各社はしのぎを削っている。

私は化粧品会社に入るまで、化粧品は肌がきれいに変化するものだと思っていた。



しかし、薬事法では化粧品は薬と違って効果があってはいけないものなのだ。肌の弾力がよみがえったり、肌のしわが自然に消えていってはならないのが化粧品。

以下、化粧品会社広告担当側からみた法律について

例えば、薬事法で認められている化粧品の効果効能で、お肌編。

(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。

広告担当者はこの言葉の中から知恵をひねり出すしかない。たとえどんなに効果のある化粧品でもそれを言うことはできない。言葉でいうことができないなら、使用前、使用後の写真!と考えても、効果効能を表現することになるので薬事法違反になる。

効果効能に限りがあるならと考えてよく使われるのが、○人が実感!ご愛用者○万人突破!1分に○本売れている!などなど。しかし、ここには景表法が立ちはだかる。
きちんとしたデータを揃えてなければならない。このデータを揃えるためには時間がかかる。そこで狙うのは外部での受賞。雑誌やネットのランキングでの上位、もちろん1位がいい。その他にはモンドセレクションなどもある。こちらはお金がかかる。

次に医薬部外品、美白化粧品について。
今回自主回収に至った化粧品は、薬用有効成分「ロドデノール」を配合した医薬部外品。薬用と表現する場合もある。
薬事法では化粧品表現にプラスして

「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」
「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」
美白・ホワイトニング等は※をして(※日焼けによるシミ、ソバカスを防ぐ)

と書けば表現できる。
化粧品広告を見たら、たくさんの※がついているのがわかると思う。薬事法、景表法で※だらけになって苦笑いの時がある。

また、薬用でも

「肌本来の色そのものが変化する」

旨の表現はできない。しかし、今回の美白化粧品はまだらではあるが、実際に白くなってしまった。化粧品の一線を越えてしまった。

法律の中では不思議に思えることが細かにある。
化粧品と医薬部外品の成分表示の違い。

化粧品では配分量が多い順に全て書かなければならない。しかし、医薬部外品にその決まりはない。厚労省が承認をしたからという理由らしい。
消費者としては書いて欲しいものではないだろうか。実は薬用有効成分には配合に上限があり、実はそんなに入っていなくても薬用と言うことができたり、薬用よりもたっぷりと成分が入っていても、薬用と言わない化粧品もあったりする。濃ければいいという訳ではないが、知らされないことが消費者の不安となるのではないかと思う。

女性の美肌へ探究心に応えるべく、化粧品会社は毎シーズン新しい有効成分、新商品で市場に挑む。そのために研究開発は熾烈。そこに薬事法はついていっているのだろうか?
そして、今回の「ロドデノール」症例を見たとき、アメリカでは濃度が濃いとドクターが処方の成分ハイドロキノンと似たイメージを持った。

「化粧品は効果が無い分、害もない。薬は効果は当たり前で副作用もある。」
薬事法は多分こう言っているように思う。
薬用が一線を越えてしまった今回の事例を厚労省はどう捉えているのか。薬用有効成分の審査が厳しく、審査期間が長くなりそうなのは予想がつく。しかし、厳しくするだけではなく、技術に合せた薬事法にすることも必要ではないか。勿論副作用があってはならない。

私が化粧品会社を離れて約1年の昨年12月、「乾燥による小ジワを目立たなくする。」の表現は薬事法で使えるようになったそう。小さいことだが、やっとシワという言葉が使えるようになった。実際、化粧品でシワは短くなる。

消費者に事実が伝わり、そして誇大広告や嘘には厳しい、薬事法と景表法のバランスになって欲しいと思う。この微妙な化粧品の言葉使いは女性ならではの感性かもしれない。ぜひ、女性の国会議員の皆さんに安全安心で事実に即した商品となるよう薬事法に着目してほしい。